しがないマーケターの戯言

読んで学んで、物を書/描く。

仕事における「コミュニケーション力」の本質とは

f:id:iroiromanabu:20191202231811j:plain

学生の頃は、就活で「コミュニケーション力」が重要だと大人たちに聞かされていた。でも当時はコミュニケーション力とは何かということについて特に深くは考えられていなかった。

自分自身はどちらかというと内向的な性格で、休日は1人で過ごすことが好きだし、大勢の飲み会も苦手。部活やゼミでもリーダーを務めるのもあまり好きではなかった。でも就活ではコミュニケーション力が重要だというので、面接ではハキハキと明るく、外交的で話しやすい人柄を一生懸命演じていた気がする。

この、「仕事に必要なコミュニケーション力とは何か」という問題について、海外で働き始めてから自分の中で一つの答えを見つけた。できることなら学生の時の自分に教えてあげたいがそれは無理なので、これから社会に出る今の学生さんの参考にもなるかもしれないと思いまとめてみる。

外交的であることは関係ない

結論から言うと、仕事に必要なコミュニケーション力というのは、お酒が強いことでも面白い話ができることでも、誰とでも仲良くなれることでも、ましてやサークルで部長を務めた経験でもない。

自分の考えをクリアに伝え、相手の話を100%以上理解して、必要なタイミングで必要な人に適切にコミュニケーションをとって物事をスムーズに進められる力のことだと思うのだ。

外国人として働いてわかったコミュニケーションの本質

僕は2019年の7月から、中国の上海で働いている。同僚のほとんどは中国人で日本語は喋れない。自分自身は元々、中国語は全くできない。この半年くらいで猛勉強をしているところだが、ビジネスレベルの中国語には上海に来て5ヶ月経った今も程遠い状況だ。

言葉がわからないということは、同僚や上司と仕事上のコミュニケーションがほとんどできないということだ。自分のコミュニケーション力を封じられて始めて、自分が日本では仕事上でどのようなコミュニケーションを大切にしながら仕事を進めていたのか、ということを改めて理解できた。

自分の考えを根拠を持って伝える力

自分が持っている考えを、上司や同僚に伝えて、一緒に物事を動かすためには、相手から同意を得て、納得してもらうことが必要だ。そのためには、考えの根拠をクリアに素早く伝えることが重要。中国語環境ではまずこの基本的な部分のハードルが高くなり、苦しんだ。

相手が求めている情報は何かを想像しながら、会議という限られた時間の中で要点を絞って伝えるということは、意外と難しく、かつ重要なことなのだ。

フィードバックを正しく理解する力

自分の考えを一方的に伝えるだけではもちろん仕事はスムーズに進められない。自分のやり方や考えに対し、上司や同僚がどう思っているのか。そのフィードバックの内容と意図を正しく理解して、自分の仕事を修正していく必要がある。

時には相手が言っていることを100%以上理解する必要がある。相手が考えをすべてクリアに言語化できているとは限らない。ただ文字通りに理解するだけではなく、相手の発言の背景や考えのコアは何なのか、ということを考えることは物事をスムーズに進めるカギになる。

僕は現時点では中国語で上司からのフィードバックをすべて理解できない。100%どころか、複雑な内容だと50%も理解できないこともあるかもしれない。この状況は仕事を進める難易度を爆上げしている。

曖昧な相談をするコミュニケーション力

仕事を進めるというのは、白黒とはっきりしない事もあれば、すべての情報を相手に伝えれば良いというものではない。

例えば、会議ではAということが決まったとしても、後でBという問題に気づいてしまうことがある。Aであることには変わりないけど、Bに対応するにはAA’に内容を修正する必要がある。それを非公式な会議以外の場で上司に相談をしたり、不安な部分を確認したりすることが時には求められる。

自分の考えに自信が無いこと、自分ではアイデアが無く少し相談をしたいことは誰しもある。そういった曖昧なことを雑談レベルでもちかけ、上司や同僚の考えを確認したい時というのは意外とある。この絶妙なコミュニケーションを、中国語環境では完全に封じられたので本当に苦しい。

過去お世話になった上司は、僕がタバコを吸わないことを知りながら「タバコ行こうぜ」とよく誘ってくださっていた。このタバコに付き合う時間が自分にとっては意外と貴重で、進め方に迷っていること、困っていることを軽く相談できるので、かなり仕事が進めやすかったことを覚えている。

 

+++

どれも、基本的なことで簡単だと思うかもしれない。でも、タスクに追われ心の余裕が無くなるとおろそかになることもあるし、周りの人を見渡すと、案外できていない人も多いことに気づかないだろうか。

こういった当たり前のコミュニケーションを丁寧にとれることが、仕事上求められるコミュニケーション力の本質だと思うのだ。