上海に来て3ヶ月。HSK5級を取得した。(HSK5級は中国語の検定試験。6級が最上級)
これまで英語の勉強をし、それに加えて中国語も勉強する中で、早く語学力をアップさせるには「速読速聴系教材」によるインプットと、語学スクールなどによるアウトプットを組み合わせることが結局一番効率的なのではという結論に達した。この記事では、その理由と具体的な方法について解説したい。
「速読速聴系教材」とは
英語を本気で勉強したことがある方の多くは、Z会が出版する「速読速聴英単語」というシリーズを見たことがあると思う。ここで言う「速読速聴系教材」とは、まさにああいった「1冊に重要な単語や熟語表現を多く含んだ長文集の参考書」のことだ。そして、ネイティブスピーカーによる本文読み上げ音声つきというのが重要なポイント。
ちなみに、Z会の速読速聴系教材は、大学受験用のものだけではなく様々なレベルや種類があるので素晴らしい。
中国語の「速読速聴系教材」
英語ほど多くの種類はないが、中国語にも「速読速聴系教材」はある。自分が知る中ではコンセプトが非常に近いのが以下。
Z会から出版されている「速読速聴中国語」は、HSK4級あたりまで対応している。僕はこれを10回以上読んだが、基礎力をつける上ではかなり役に立った。文法の説明もあるところが良い。ぜひ続編(上のレベル)の出版をしてほしいところ。
僕はHSK5級対策は、語学教室での会話練習に加えて、この1冊しかやっていない(過去問は1年分だけ解いた)。HSK5級レベルの単語が100個の長文の中に網羅されているという非常にシンプルな参考書だ。
東進衛星予備校で有名なナガセから出版されているこちらは、もう少しレベルが高い。僕は6級対策としてこのあとこれに取り組む予定。
「速読速聴系教材」を推す理由
インプットの絶対量が多い
まず、単純な単語集や例文集に加えて、インプットの絶対量が圧倒的に多い。語学学習にはどうしてもその言語に触れる絶対的な量が必要だ。例えば1日20個の単語に目を通すよりも、5つの長文を読めばその何倍もの英語(または中国語)に触れることになる。そして、音声も聴くことでリスニングと発音の練習もたくさんできる。この絶対量こそが語学力向上にとても重要だと思うのだ。
暗記という感覚がなく文脈で覚えられる
また、これは一般的によく言われることだが、単語や熟語を文脈の中で理解できることは重要。単語だけを覚えようとしてもなかなか覚えられないものだ。僕の場合は、名詞や動詞はまだ覚えられるが、副詞や形容詞は文章の中で覚えないと頭に入ってこない。その点、「速読速聴系教材」であれば、すべての単語表現を文脈の中で覚えられる。
飽きずに何度も読める
そして、例文集よりもある程度の長文になっていたほうがストーリー性、メッセージ性がある文章になるので飽きにくい。少し前に英語教材の「ALL IN ONE」に取り組んでいた。この教材は重要な英単語や文法が約400の例文に凝縮されている素晴らしい教材だった。僕も何周か取り組んで非常に有用だったのだが、正直ストーリー性のない例文の羅列だと飽きてしまった。
今は、TOEIC900超えに向けて、Z会の以下のテキストに切り替えた。この記事を執筆している現在、2週目に取り組んでいるが、短時間で多くの文章を読みながら自然と語彙力を増やせている実感がある。
「速読速聴系教材」の使いかた
音読+シャドーイングを5回
僕のオススメの使いかたはいたってシンプル。
1.まず本文を音読&精読する
2.音声を聴きながらシャドーイングのような感じでもう一度読む
これを1セットとすると、1セットで1つの文章を2回読んだことになる。1冊すべて終わったら、また最初の例文に戻って、これを少なくとも5セットやる。そうすると、2回×5セットで10回ずつは読むことになる。
これだけやると、かなりの量の語彙力が身につき、その語学を文章として理解する力も向上しているはずである。5セット終わったら次のレベルの教材に進んでもいいし、もっと繰り返して定着させても良いと思う。
アウトプット(語学スクール)と組み合わせる
一方で、「速読速聴系教材」でインプットするだけでは残念ながらその言語を喋れるようにはならない。インプットしたことをアウトプットする機会は絶対に必要だ。このためには単純で、語学スクールやオンラインレッスンで定期的にネイティブスピーカーと話す時間を設けるしかない。
言いたいのはつまり、「英会話スクールに行く」だけでは英語は話せるようにはならず、その前提として大量のインプットをしておいて、定期的にアウトプットすることが重要、ということ。インプットとアウトプットの両輪が、語学学習にはやはり欠かせないのだ。
使いかたの注意ポイント
最後に、使い方の注意ポイントをいくつか。
基本文法の勉強は必要
単語や熟語のインプットはもちろん重要だが、基本的な文法の理解ができていないと感じる人はもちろんそこは別途取り組む必要がある。英語であれば、高校で習う基本的な文法までは、受験用のテキストなどを使って復習しておくべきだろう。もちろん、小難しい文法問題に答えるためのような勉強は必要ない。
自分に合ったレベルの教材を選ぶ
そして、「速読速聴系教材」は、自分のレベルと目標に合ったものを選ぶことが非常に重要だ。難しい教材のほうが、新しくインプットできる量も増えるのだが、その分挫折しやすい。「速読速聴系教材」は、何度も繰り返し読むことが重要なので、ストレスが大きすぎず、知らない語彙もある程度含まれている自分に合ったレベルのものを選ぶことをおすすめしたい。
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以上、語学力アップには結局「速読速聴系教材」が一番効率的な理由を自分なりに解説してみた。僕はこの方法を継続して、2020年1月にはHSK6級(中国語検定の最上級)まで狙いたいと思っている。