WeChat(微信)といえば「中国で使われているLINEのようなアプリ」というだけのイメージが強いかもしれない。しかし、LINEよりも遥かに多機能で、中国市場で独自進化を遂げている。
その中でも、企業がマーケティングにWeChatを使う場合、個人アカウント以外に、「購読アカウント」や「サービスアカウント」など、様々なタイプの公式アカウントがある。
この記事では、中国人向けマーケティングには理解必須のWeChatの公式アカウントと付随コンテンツの基本情報をまとめたい。
購読アカウント(订阅号:ディンユエハオ)
一般に、企業からの情報発信に向いているアカウントのタイプ。フォローしているユーザーに1日1回記事を配信できる。高頻度で一斉にフォロワーに情報発信できることがメリット。
ただし、タイムラインにはそのユーザーがフォローしている「購読アカウント」が他の企業も含めて一つにまとめられて配信されるので、開封率は高くないというデメリットもある。
サービスアカウント(服务号:フーウーハオ)
すでに会員になったユーザーを管理することに向いているアカウント。1ヶ月に4回(かつ1回あたり最大8つの記事まで)情報を配信できる。
購読アカウントと違い、そのアカウントのメッセージが個別にチャット欄に表示されるので開封率が高い。メッセージ内容も、ユーザーのタイプに合わせてカスタマイズできることが特徴だ。
企業アカウント(企业号:チーイエハオ)
企業や組織で、内部コミュニケーション用に使われるアカウント。一般的には企業内の非公開アカウントとなる。
ミニプログラム(小程序:シャオチェンシュ)
WeChatの中には、WeChatプラットフォーム内で機能するアプリの中のアプリが存在する。それがミニプログラムと呼ばれる機能だ。WeChatプラットフォーム内にありながら、アプリのように使えるので、ユーザーはWeChatを閉じることなく、ニーズを完結できる。
また、それぞれをダウンロードするアプリではないので、例えばAppleストアの審査を通る必要もなく、企業側は柔軟でスピーディーな開発が可能という特徴もある。
WeChat Shop(微商城:ウェイシャンチャン)
WeChat Shopは、ミニプログラムのように、WeChat内にあるEコマースのプラットフォーム。ユーザーはWeChat内にいながら、ECサイトのように商品を選び、買い物かごに入れ、購入できる。
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以上、中国人向けマーケティングには理解必須のWeChatの公式アカウントの基本情報をざっとまとめた。中国のテクノロジーは変化が激しい。またすぐに新たなコンテンツや機能が生まれることは間違いないので、引き続き注目していきたい。
参考にした以下の書籍は、中国市場のマーケティングを理解する上でおすすめできる2冊だ。
・田中千晶、山本達郎「中国ネットマーケティング最前線」
・李智慧「チャイナ・イノベーション」