しがないマーケターの戯言

読んで学んで、物を書/描く。

「転職の思考法」から学んだキャリアの本質とマーケティング思考

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北野唯我「転職の思考法」を読んだ。

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

Posted with Amakuri at 2018.7.8

  • 北野 唯我
  • ダイヤモンド社

転職のテクニックではなく、キャリア選択の本質。

本書は、職務履歴書や面接のテクニックなどについてではなく、転職というものを個人がどう捉え、向き合うべきかという点で非常に価値のある1冊だ。

自分の市場価値をどう上げるか

自分のマーケットバリューを測るに必要な、技術資産、人的資産、業界の生産性という観点。それを踏まえてどのような転職先を選択するかの考え方。そして心から納得できる仕事を見つけるために必要なことなど、特に30代前後の会社員が、今後のキャリアを考える上で考えるべきことが語られている。

内容もさることながら、個人的に本書に好感と共感を持ったのは、筆者の理念だ。

私はすべての働く人が「いつでも転職できる」という交渉のカードを持てたとしたら、この国は変わると本気で信じています。

 個人と企業が対等の関係に立ち、個人が働く環境や企業を選択できるようになる。その結果、企業も魅力的になれるように努力する。という市場原理が働く社会にしたいという、筆者の想いが滲み出ている。

マーケティングの一貫性

また、マーケティング的な視点から見ても、その理念との一貫性があるのも好感が持てるポイントだ。本書は転職に関する小手先のテクニック本ではなく、キャリアや働き方の本質に迫った内容で、ヘビーなものだ。しかし演出は非常にライトで、小説形式になっているので、ビジネス書を読み慣れていない人でも読みやすい。

しかも、「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む」というキャッチコピーを採用していて、これから転職を考える切羽詰まっていない人を対象にしている体裁をとっているので、マーケティング的に言えば、入り口でターゲットを広げている

もちろんこれらの設計は出版社とその編集者のマーケティング設計であるだろうが、筆者が1人でも多く転職について真剣に考えて欲しいという想いが伝わる。筆者の自己満足ではないという点が、マーケターとしても学びになるものだった。