しがないマーケターの戯言

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MBA学生が読んでいる経営学のバイブル本15選

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この記事では経営学を学ぶ上で、バイブルと言えるような本をまとめてみる。

ビジネススクールの入学の難易度は、そのビジネススクールによってピンキリだが、学ぶ内容自体は、どのMBAでも大きくは変わらない。なぜなら、どのスクールも世界的にも認められている研究者たちの書籍を使いながら講義が進められることが多いからだ。ここでご紹介しているのは、そんな信頼できる書籍たちだ。

こんな方にオススメ

・経営学のいずれかの分野で学びを深めたい方

・MBAでどんな内容を学ぶのかを知りたい方

・実務の経験を体系的に整理したい方

など。

この記事の信頼性

僕(筆者)は、2018年に、オーストラリアのBond大学のMBAプログラム(オンラインコース)を実際に修了した。その学びの中で実際に使っていた本をご紹介する。

このコースは、米国ビジネススクール国際認証機関AACSBによる認証と、欧州のマネジメント教育品質評価機関よりEQUIS認証を得ている。ダブル取得しているのは世界に約13,000あるビジネススクールのうち1%らしい。なので、信頼できるプログラムではあるはずだ。

*会計や統計学といった定量的な分野の書籍は、内容は少し基礎的すぎるものでも理解するために重宝した書籍を紹介している。僕がそれらの分野に精通していなかったため、難解な書籍は避けたこともあるのでご了承頂きたい。

事業戦略

ジェイ・B・バーニーの「企業戦略論」。けっこうなボリュームが「基礎編」「事業戦略編」「全社戦略編」の3冊あるので、1ページ目から読んで行くというよりは辞書的に使った。価格戦略、ファイブフォース分析、VRIO分析、海外戦略など、事業戦略レベルでのフレームワークと事例が網羅されており、まさにMBAの教科書である。

 マーケティング

マーケティングの神様フィリップ・コトラーと、ケビン・レーン・ケラーの「マーケティング・マネジメント」。STP4Pなど基礎的なものから、マーケティング戦略に必要なフレームワークや観点がすべて入っていると言っても過言ではない1冊。世界中のMBAコースで教科書として使われていると言われている。

ただ、フルバージョンはかなり分厚いので、もし個人的に読むのであれば「基礎編」をオススメする。最新の事例などはフルバージョンと比べて少ないかもしれないが、これでも情報量として充分すぎる。

 組織行動論・リーダーシップ

スティーブン P.ロビンスの「組織行動のマネジメント」。リーダシーップから、従業員のモチベーションマネジメント、組織構造のフレームワークなど、企業をマネジメントするための教科書的な1冊。色々なところで引用できるので、個人的にはかなり便利な良書だと思う。

異文化コミュニケーション

国際経営論の名誉教授ヘールト ホフステートの「多文化世界」。文化と国民性を4つの次元(権力格差、個人志向-集団思考、男性的-女性的、不確実性の回避)の度合いで説明している。異文化コミュニケーション上の問題を説明する時には、このホフステードの定義に沿って考えると原因が理解できることがほとんどだと思う。

ネゴシエーション

交渉は経験であって学問ではないとおもわれがちだが、理論やテクニックが明確に存在する。実際に授業で使ったのはロイ・J・レビスキー「交渉力」の英語版だったが、日本語版が絶版になっているようなので、ここではグロービスの「交渉術の基本」を紹介しておきたい。

アカウンティング

建宮努「ゼロからはじめる英文会計入門」。これは教科書的な網羅性はないが、会計が専門分野ではない人が、アカウンティングを学び始めるには最適の書だ。

また、アカウンティングを理解するためには、簿記の理解が必要であるが、浜田勝義「はじめての人の簿記」はとてもわかりやすく良書だった。

ファイナンス

企業価値分析などのファイナンスを理解するには、石野雄一さんの著書が重宝される。実務でファイナンスに馴染みのない僕みたいな方は、まずは「ざっくり分かるファイナンス」で概略をつかみ、「道具としてのファイナンス」を3回くらい読むことをオススメしたい。

統計学

経済学者で数学エッセイストの小島寛之の著書「完全独習 統計学入門」基礎を「身につける」にはこちらの本はかなり良かった。説明が本当にわかりやすいだけでなく、例題が所々に散りばめられているので、自分で定理を使ってみるということが可能。難解な数式がほとんど出てこず、あくまでビジネスで統計を使うためのポイントに絞られている。

経済学

N. グレゴリー マンキュー「マンキュー経済学」。MBAだけではなく、多くの大学で教科書として使われている文句なしの経済学のバイブル。事例も多く盛り込まれていて、個人的には読み物としても面白かった。専門的に学ぶわけでなければ、「入門編」で十分だ。深めたい場合は「ミクロ編」「マクロ編」を揃えるのが良いだろう。

起業家論

サラス・サラスバシー他「エフェクチュアル・アントレナーシップ」。エフェクチュエーション理論とは、ゴールからビジネスを考えるのではなく、Means(すでに手元にある手段)から、何ができるかを考える起業家的な思考法である。今ある人脈、スキル、経験、志向などからスタートすることで、早くビジネスを具現化し、柔軟に変化していける。まずはゴールを設定し、そこへの道筋を描くのが常識と考えるのではなく、あくまで起業家としての必要な考え方が理解できる。 

イノベーション

クレイトン・クリステンセン『イノベーションのジレンマ』。多くのビジネスマンがタイトルくらいは一度は聞いたことがあると思う。「経営者が合理的な意思決定をすればするほど、企業はイノベーションを生み出すことができない」という皮肉な理論だ。

これを読むと、自分の組織をはじめイノベーションのジレンマは至る所で見られることがよくわかる。

問題解決

『企業参謀』は、元マッキンゼー・ジャパンCEOの大前研一氏が30歳の時に執筆したという著書。日本の経営コンサルタントのパイオニアとして、大前氏の経営分析ノウハウが詰められており、到底30歳の若者が書いたものとは思えない。

どのような切り口で企業と事業を分析し、どのようにそれを解決していくかという問題解決の教科書的な1冊だ。

以上、たくさん紹介してしまったが、経営学のバイブルとも言える書籍たちだ。

*僕が卒業したBond大学についてはこちら

iroiromanabu.hatenadiary.jp

*MBA理論について他の記事でも書いています。

iroiromanabu.hatenadiary.jp