内田学「MBAエッセンシャルズ」は、タイトル通りMBAで学ぶ主要な知識を1冊で網羅できる良書だ。横浜商科大学教授の内田氏の他にも、7名の経営学の専門家たちによって執筆されている。
こんな人にオススメ
・将来的にMBAに進学したいので準備しておきたい
・MBAに興味があるのでどんなことを学ぶのか試したい
・経営学の重要な知識だけを確認したい
・経営学を学んだことがあるので復習したい
内容まとめ
本書では、以下のような経営学の主要な項目が1冊(約360ページ)に集約されている。
・ITとイノベーション
・オペレーション・マネジメント
・統計学
・アカウンティング
・ファイナンス
・組織行動とマネジメント
・経営戦略
・マーケティング
網羅されていないことは何か
もちろん、この本を1冊読めばMBAのすべてを知れるわけではない。1つひとつの項目はあくまで基本知識だし、僕が卒業したMBAプログラムでは、上記の他にも経済学、アントレプレナーシップ、異文化コミュニケーション、ビジネスプラン、交渉術なども学んだ。
また、本場のMBAプログラムでは他の学生とのディスカッションや、教授陣へのビジネスプランのプレゼンなども経験できるため、知識の吸収という面ではやはり本物のMBAコースは違うと思う。
この本の魅力
一方、やはり「基本知識の網羅」という観点では良書であることは間違いない。
僕は実際にオーストラリアボンド大学のMBAプログラム卒業生だが、プログラムの中で学んだ理論や参考した文献が本書の中に非常に多く扱っており信頼できる内容だと思う。また、「オペレーション・マネジメント」の章では、プロジェクトマネジメントの基礎知識なども扱われていて、実務に活きる内容になっているといえる。
さらに、最初の項目に「ITとイノベーション」という時代に即した内容が盛り込まれていることも評価ポイントだ。この章では、クレイトン・クリステンセンのイノベーションのジレンマなど有名な理論と合わせて最新のITビジネスの事例(シェアリングエコノミーやAIスピーカービジネス基盤など)について言及されている。
以上、MBAの導入や復讐として、また「専門的な知識というよりもひとまず基礎知識だけ身につけたい」という方には、この「MBAエッセンシャルズ」はとても良い教材だ。