過去に短い期間だが一緒に働いた上司は、PMP(Project Management Professional)の資格をもっていた。PMPの資格は、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルであるという証明にほかならない。
プロジェクトマネジメント的思考
今思うと、その上司のマネジメントスタイルは、本当にプロジェクトマネジメントの考え方が色濃く反映されていた。印象深かったのは、その上司が他部署から異動してきた直後のこと。企画の会議では最初に「この会議における目的は、私が決裁をすることであり、そのための議論を行います。そして、私は異動直後で商品知識がみなさんより浅いです。なので、決裁の観点は、その企画に"ロジックが通っているか否か"のみです。」と、宣言するのだ。
少々機会的すぎて人間味がなさすぎやしないかと思う人もいるかもしれないが、このプロジェクトマネジメント的なスタイルは、下の者にとっては非常にやりやすい。会議が無駄に長引くこともなければ、会議の目的やフィードバックのポイントがはっきりしているので、次の会議への準備もしやすいからだ。
何がプロジェクトマネジメント的か
プロジェクトマネジメントはMBAで学ぶ科目の一つだ。「プロジェクト」とは「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務」と定義される。つまり、通常業務には含まれない商品やサービスを一時的に集まったチームで作りましょう、ということだ。
そして、プロジェクトマネジメントにおいては、「スコープ(プロジェクトのアウトプット)」「時間(スケジュール)」「コスト」「クオリティ」「リスク」「ステークスホルダー(関係者)」といったことを細かく定義して、管理する。その思想の中には「熱く議論する」「予定を超えてたくさん働く」などという変動要素は含まない。
上記で紹介した元上司のマネジメントスタイルは、その企画の目的、スケジュール、関連各者(ステークスホルダー)の役割などを明確に定め、必要なことだけに絞っていくという考え方が根底にあると思う。自分としても、見習いたいマネジメントスタイルである。
プロジェクトマネジメントを学ぶために
プロジェクトマネジメントの理論は、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)と呼ばれるアメリカの非営利団体によって作られたプロジェクトマネジメントの教本が王道である。これ自体はかなり情報量が多く、難度が高いので、私はPMBOKがまとめられた、広兼 修 「プロジェクトマネジメント標準 PMBOK入門」を一読することで学習に役立てた。
平易な言葉で説明されており、入門書としてはぴったりだったので、興味があればぜひ試してほしい。