しがないマーケターの戯言

読んで学んで、物を書/描く。

経営学は日常に転がっている

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僕は今、働きながら大学院で経営学を学んでいる。経営学やMBAというと、「起業するの?」「社長になりたいの?」と聞かれることもある。

確かに僕はいつか独立や起業に興味がある。ただ、それを目標として経営学を学び始めたわけではない。そもそも「経営学」や「MBA」って名称は仰々しすぎるように思う。経営大学院では、いわゆる「仕事」「会社」に関わることの基礎を網羅的に学ぶし、それらは経営していない人にも必要なことばかりだ。

そしてこれは学び始めて実感するようになったことだが、経営学は日常生活の様々な場所に転がっているものだ。今までぼやっとして見えていた世界に枠組みが引かれ、少しずつくっきり見えてくる。

お金のこと

例えば、ファイナンスでは、「将来価値」「現在価値」といった概念を学ぶ。これは、シンプルに言うと「将来手にはいる1万円より、今すぐ手にはいる1万円のほうが価値がある」という意味だ。なぜなら、今手元に1万円あれば、それを投資や預金などで運用して増やしたり、他の事業投資に使えるから。

こういった概念を知っていると、なぜスタバがカードに入金させるのかが想像がつくだろう。コーヒーが買われていないのに大量の前受金を手にしているわけだ。

また、買い物をするときにクレジットカード派と現金派がいるが、お金の運用の面では、実際に現金が出て行くタイミングが遅いクレジットカード払いのほうが有利であることもわかる。

コミュニケーションのこと

経営学では、組織を牽引していく必要から、リーダーシップ論も学ぶ。リーダーシップにも様々なタイプがあり、ビジョンを語りカリスマ性で引っ張るタイプ、厳しく管理するタイプ。権限を委譲してモチベーションをコントロールするタイプなど。これらはどれが正解ということではなく、その事業(チーム)の状況によって適したリーダーシップスタイルが違うのだ。

これは経営という大きな枠組みだけでなく、例えばスポーツのチームにおけるリーダーでも当てはまるし、飲食店のバイト仲間の中でのリーダーでも考え方は同じだ。自分がリーダーであれば、チームの状況を踏まえてどう振る舞えば良いかがわかるし、リーダーでなくても、自分のリーダーがどのようなスタイルでリーダーシップをとろうとしているのかが理解できる。

数字のこと

経営学ではデータ分析の必要性から、統計学の基礎も学ぶ。因果関係なのか相関関係なのか。平均、分散、標準偏差など。こういったことを学ぶと、数字を見る時に、良い意味でそのまま信用しないスタンスが身につく。

例えば「スマホを使う子どもの成績が悪い」というニュースがあるとする。統計の基礎だけでも知っていれば、これをそのまま鵜呑みにするのではなく、「それは本当に因果関係なのか?相関関係なのではないのか?」と疑うことができる。つまり、スマホを使うから成績が悪いのではなく、成績が悪い子は勉強する時間が短いので、結果的にスマホをよく使うというだけかもしれないのだ。

 

つまり何が言いたいかというと、経営学だとかMBAだとか言うと仰々しいようにも思えるが、実はそのへんの道端に転がっている、身近なものだということだ。

いっそ「仕事学」「人生学」とか、名前を変えてしまったらどうだろうか。いや、でもかっこ悪いからやっぱりやめてほしい。