しがないマーケターの戯言

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「課長職」の魅力とは

マネージャー

課長職の魅力と辛さ

本格的にマネージャー(課長)になって半年が経った。マネージャーといっても部下は数名の小さなチームだ。もう会社員になって10年が経つ。34歳になったが、管理職になるのは恥ずかしながらことが初めてだ。会社の規模によっては管理職デビューは遅いくらいだろう。

(海外駐在員は基本的にはどの会社でも管理職を担うことを期待されて駐在しているものだし、自分以外の先輩たちは大規模なチームのマネージャーなので、特にすごいことではないということをお断りしておく)

課長職としての困難

まだマネージャーとしての仕事は始まったばかりだけど、それなりに大変さも感じている。日本人もマネジメントしたことないのに、いきなり中国人の部下を、しかも中国語でマネジメントするなんてできるのだろうか?正直最初は不安も大きかった。

もちろんこれまでもプロジェクトリーダーとしての経験はある。後輩の育成なども何度か担当してきた。それでも管理職の仕事は、また違った大変さがある。

一つは、「守る仕事」が増えたこと。上海に来て以降、これまで僕はどちらかというと「攻めの仕事」を担当させてもらっていた。何かの課題に対して、それを解決する新しい企画を考え推進するような役割だ。それに対し、今はチーム全体を運営していくための「守る仕事」が増えた。

・商品の在庫管理

・予算の管理

・クレーム等の対応

・各種定例会への出席

・毎週/月のレポートの提出

もう一つは、人事や育成関係の仕事。メンバーの目標管理や、出勤管理など。これまでは一人のプレイヤーとしてそのプロジェクトの完遂や成功を主眼においていた。でも長期的に考えると、その短期のプロジェクトが早く進むことよりも、自分は手を動かさずにメンバーにやってもらったほうが良い場合もある。育成の観点で。

そんなことを考えていると、仕事がどんどん溜まっていって進まない。週末もPCを開いてタスクを進める。そんな状態が続いている。

課長職の魅力

課長職はいわゆる「中間管理職」の代表格であり、ビジネスの最前線で働きつつ、下からも上からも大きなプレッシャーを受ける辛い仕事だ。一方で、「経営者と従業員」という二元論が基礎にある欧米の経営学に対して、日本型企業では、この中間管理職の役割が大きいと言われる。トップ・ダウンでもボトム・アップでもない「ミドル・アップダウン」という中間管理職のダイナミックな役割を強調する研究もある。

酒井穣さん『はじめての課長の教科書』は、「課長職」というものに客観的に向き合った良書だ。これによると、課長職は以下の特徴がある。

  1. 課長は「予算管理に実質的な責任を持つ管理職」という枠の中では最下位のポジション
  2. 課長は経営者と直接仕事の話をすることができる最下位のポジショ
  3. 課長は通常、法的にも管理職として認知される最下位のポジション
  4. 課長は部下の業績や能力を評価することが正式に認められている最下位のポジション

 

また、課長は上記のようなタスクの経験ができるため、転職市場においても、課長クラスを経験しているかどうかは、ひとつの大きな見極めのポイントにもなる。

さらに、微妙な立ち位置の課長であるがゆえに、ビジネスにおける経営情報と、現場や顧客の情報が直接入ってくるため、「課長は情報伝達のキーパーソン」であるとも言える。

このように、時にはネガティブな文脈で語られることも少なく無い課長職も、見方を変えると、とても魅力的なマネージャーとしてのポジションなのだ。

 

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ちなみに、僕には「偉くなりたい」という欲望は全く無い。だから、「もっと上にいきたい」というようなことはこれっぽっちも思っていない。ただ、自分は将来は、大学や企業などでマーケティングやキャリアについて教える側に回りたいという目標がある。それを考えると、マネージャーの経験というのは必ず必要なものだと思っている。だから、このマネージャーとしての仕事には、真剣に向き合いたい。

上海に来て1年半が経ち、組織に貢献できることが少しずつ増えてきた。それはとても嬉しいことだ。これからも少しずつできることを増やして、早く一人前のマネージャーになりたいと強く思う。