実践マーケティングの巨匠ジェイ・エイブラハムの著書「ハイパワーマーケティング」を読んだ。世界中のコンサルタントがネタ張として愛用し、ほとんどのマーケティング関連書籍のノウハウは、この本から引用されているとも言われている。
ビジネスモデル、USPの考え方、ダイレクトメール、テレマーケティング、ウェブマーケティング、そしてビジネスパーソンとしてのマインドセットに至るまで、ビジネスそのものの基本事項を網羅し、まさにマーケティングの教科書とも言える1冊だった。
特にUSPの一節はビジネスの難しさを考えさせられるものだった。
混み合った市場で優位に立つには、競合を上回るユニークで特長的な強みやメリットを見込み客とクライアントに提供する必要がある。これをUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)という。
独自の強みを明確にしたら、プロモーション、マーケティング、広告、販売などすべての活動に取り込んでいかなければならない。これは、販売員の言動、それらに付随するものすべて(パンフレットやセールスレター、広告など)が含まれる。これは簡単なことではない。
店員、電話担当者、受付担当者、カスタマーサービス担当者に至るまで、つまり外部と何らかの関わりがある人やクライアントと接する機会がある人、そのビジネスに影響力がある人は全員、USPを深く理解し、取り入れ、心から信じなければならない。
USPを口先だけで語るのは簡単だ。しかし、その企業の組織全体にそれが浸透するのは難しい。ビジネスにおいて、やるべきことを考えるのが難しいわけではなく「実行」できるかどうかこそが問題だ。
ほとんどの組織は、ベストを尽くせているわけではない。ウェブ担当者は目の前のタスクに追われ、塾考できないまま、ヘッドラインのコピーを書いているかもしれない。販売員は経験の浅いアルバイトで、USPなんて全く理解できていないかもしれない。
僕自身も、一介のマーケターだが、成果が出たときは何か自分に特別なアイデアがあったわけではなく、「やるべきだけど、できていないことを実行しただけ」であることがほとんどだったように思う。ポテンシャルがある時期にキャンペーンを実施する。USPが伝えられていない広告物を作り直す、などだ。
当たり前のことを当たり前に実行する。それが一番大切で、難しかったりする。