杉下恵里子さん(すぎしー)は東京の外苑前で働く美容師だ。
僕の高校時代の同級生で、専門学校卒業後、すぐに上京して10年以上も美容師一筋で活躍する、芯の強い彼女を紹介したい。(僕も時々切ってもらっているが、外苑前の美容室に通うほどの頭でもないので大きな声では言えない)
Profile
杉下恵里子 Eriko Sugishita
岡山の進学高校を卒業後、美容専門学校に入学。卒業後はすぐに上京して東京にて美容師として10年以上のキャリアを積む。外苑前の美容室suburbiaに在籍。
弓道部で活躍した高校時代
すぎしーは、高校時代、弓道部で活躍していて、成績も優秀なほうだった。高校は進学校で、国立大学や私立の難関大学に進学する人も少なくない。多くの人は4年制の大学に進み、会社員や公務員になる。
その中で彼女は、美容専門学校に進み、2年で卒業して周囲よりもいち早く社会に出た。なぜ周囲が受験だ大学だと言っている中、彼女は明確に自分の就きたい職業を決め、一直線にその道を進んだのか。
美容師を目指した理由
彼女が美容師を目指したきっかけは高校時代、自分の髪型をベリーショートにした時だ。どちらかというと恥ずかしがり屋で、親しくない人と話すのも苦手だった。でも髪型を大きく変えて、気持ちが開けたように明るくなった。友達と話すのも楽しくなり、個性的な髪型をきっかけに、知らない人に話しかけられて仲良くなることもあった。
「ヘアスタイルで、人は変わる。」
そう思った瞬間だった。それから迷いなく美容師になる道を進んだ。そして、せっかく美容師になるなら、その仕事を極めたい。極めるなら地元を出て東京にいったほうが良いに決まってる。そう思って卒業後、業界では有名な美容室の採用試験を通り、就職した。
苦しい美容師の道
今でこそ10年以上美容師という仕事を続けているが、決して楽しいことばかりではなかったという。負けず嫌い、こだわりの強い性格の彼女は、職場で同僚とぶつかることもあった。お客さんに満足してもらえず、ネットに酷評を書かれることもあった。休みなく働き続けて体力的にもきつい。
「美容師なんてやめてやる、と100回以上は思った」
そう言い切る。
SNSでつながっている地元の友人たちは、土日が休みでプライベートも充実していて、みんなキラキラしているように見えた。「自分も普通の仕事にすればよかった」そう思った時期もある。
それでも彼女が美容師を続けているのは、自分が担当したお客さんに直接感謝される瞬間があるからだという。自分の腕で、そのお客さんが喜び、自信をもってくれる。それが彼女を突き動かすエンジンになっている。
美容師の高みへ
すぎしーは、1度の転職を経て、今ではSuburbiaのエースとなっている。たくさんのお客さんから指名が入ることはもちろん、他の美容室の美容師や、美容学校の学生、時には海外からの学生を相手に行うセミナーや研修を任されるようにもなった。得意なカラーリングのスキルは、業界からも注目が集まっているようだ。
「一つのスキルを極めたと思えるところまでいきたい」と、今後の目標を語る。弓道に勤しんでいた田舎の普通の女子高生は、10年以上の時を経て、「かっこいい」という言葉がとても似合う都会の女性になっていた。