しがないマーケターの戯言

読んで学んで、物を書/描く。

偉業を成し遂げる人の正体

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山口絵理子さんの「裸でも生きる」を読んだ。

以前、「自分思考」は読んだことがあって、その時も感動したが、今回もかなり心揺さぶられた。山口絵理子さんは、バングラディッシュのバッグブランド「マザーハウス」を立ち上げた起業家。山口さんのエピソードを見ていると、偉業を成し遂げる人ってこうなんだって思ったので書いてみる。

信念が強すぎ

中学生までは、いじめに遭ったり登校拒否をしたり、反動で不良になったり波乱万丈だった彼女だが、高校に入ってなんと男子柔道部に女性一人で入ってしまう。地獄のような日々を乗り越えて、全国大会にも出場している。

その後、ほとんどの人が進学せずに就職するという高校で、半年間の猛勉強で慶応大学に合格。

彼女の何がすごいかというと、何度も何度も周りに無理だと言われ、何度も何度も涙を流して、ボロボロになりながらも信念を貫いて目標を達成していること。大学生の時に英語をしゃべれないことにコンプレックスを感じ、カナダに留学に行った時には寝不足で救急車で運ばれるほど自分を追い詰めて勉強したそうだ。そしてその成功体験が、彼女にとって「今までどんな困難だって乗り越えてきた」という自信につながっている。

自分が見てきた上の人たちも、常に成果を出している人はこの信念というものがすごくて、意外と戦略的じゃなかったりする。目標達成のための戦略は、「全部やる」という人が結局強かったりするものだ。

クリティカルシンキングしすぎ

彼女は、米州開発銀行でインターンを経験し、そこで働く超エリートたちと出会った。発展途上国の支援を行なっているそのエリートたちは、実際は現地に行ったことがないことを知って驚き、悩む。話だけ聞いているとひっかからないかもしれないが、自分がもし大学生で、エリートの先輩に「俺たちは頭を働かすのが仕事だから」って言われたら、「へー!すげー!かっこいいー!そうなんだー!」って思っちゃう気がしないだろうか。

彼女は周りの考えに流されることなく、今の現状をおかしいと思い、一人バングラディッシュに飛ぶ。「現場を知らないと発展途上国のために何をすればいいかなんてわかるはずがない」という意思をもって。日本の快適な環境で暮らしてきた学生が、普通こんなこと思えるだろうk。そして実際に一人で発展途上国に乗り込むような行動を起こせる人がいるだろうか。

「現場を知らないと・・」なんて口先だけでは言えても、自分の言葉で言えるのは社会人何年経験してようやく気づくようなこだ。それに学生の内に気づいている。彼女の常識を鵜呑みにしないクリティカルシンキング力の賜物ではないだろうか。

本質見抜きすぎ

マザーハウスが生まれたのは、彼女が「ビジネスで発展途上国に貢献したい」と思ったからだ。25歳の時。彼女は、援助ではなく、勝てるビジネスで途上国に貢献することを決めた。

バングラディッシュの政治や社会に賄賂が蔓延していることを、現地で生活することで実感し、援助じゃこの国に貢献できないと気づいたという。

企業が利益を求めることはどのように社会貢献につながるのか、なんてMBAの学生が学んで議論しているようなことだ。最近でも、世界的な経営学者マイケル・ポーターが長期的に見るとビジネスこそ社会問題を解決できると主張している。

途上国の支援といえば、非営利団体や政府からの支援というイメージがある中、利益を優先する企業で貢献しようとするところに、物事の本質を見抜いている山口さんの凄さがある。

 ということで・・・ぜひ読んでみてください。

▼参考:マイケル・ポーター「なぜビジネスが社会問題の解決に役立ちうるのか」