田舎に母と2人で暮らす僕のおばあちゃんと、ポジティンブ心理学から考えた話。
うちのおばあちゃんの口癖
僕のおばあちゃんは、母と2人でくっそ田舎に住んでいる。きっと東京に住んでいる人から見ると想像を絶すると思う。最寄り駅までは車で10分だが、電車は1時間に1本しかこない。周囲にコンビニなんてもちろんない。
そんなくっそ田舎に住んでいる僕のおばあちゃんは、もうすぐ89歳を迎える長寿だが、10年ほど前におじいちゃんが亡くなってから、寂しくも細々と生活をしている。
おばあちゃんには口癖がある。
「わたしゃあ幸せもんじゃあ」である。
おばあちゃんは、小言も言わず自分の世話をしてくれている母や、近所の人たち、親戚にいつも感謝をしている。
「こんなおいぼれに、誰がこんなに優しくしてくれるじゃろう」
と言って。時々一人で泣くらしい。
もう年なので、いつも同じ話をしている。今まさに年末なので、実家に帰ってきているのだが、今日も同じ話を僕にしていた。
いつも聞いているので、当然のことのように思っていたが、最近大学院の講義で知ったポジティブ心理学の観点から考えても、うちのおばあちゃんはすごく自分の人生を充実させている、と思った。
ポジティブ心理学とは
ポジティブ心理学とは、シンプルに言えば「幸せとは何か」を考える学問分野である。
幸せとはなんだろうか。ある研究者によると、幸福は以下の方程式で成り立つらしい。
幸福(Happiness)
= 素質(Set point)50%
+ 環境(Conditions)10%
+ 自発的行為(Voluntary activities)40%
素質は、その人が元々持っているデフォルト値であり、それが50%を占める。一方、収入、学歴、人種年齢などの「環境」が与える影響は10%にすぎない。そして、40%は自分の行動で変えられるというわけだ。
この自分で変えられるとされる40%には、「よく笑う」「まめに動く」「楽しそうに仕事をする」「親切・利他的行動をとる」などがあるが、その中に「感謝をする」という要素もあるらしい。
古代ローマの哲学者キケロは、「感謝は最も偉大な美徳であるばかりか、全ての美徳の親である」という言葉を残し、イギリスの哲学者ヒュームは、「人類が犯しえる犯罪の中で、最も忌まわしいのが感謝しないことだ」とまで言い切った。
感謝の言葉が幸せを作る
こういったことを学んだ時、僕のおばあちゃんが家族や近所の人、その他の親戚に可愛がられ、幸せに暮らしているのは、決して当然のことなんかではなく、僕のおばあちゃんが無意識にやっているこの「感謝を口に出す」という行動の賜物なのではないかと思うようになった。
もしおばあちゃんが周りの人に文句を言って、「わたしゃ不幸じゃあ」といつも言っていたらどうだろう。きっとおばあちゃんは不幸だし、周りの人もあまり関わりたくなくなるはずだ。
幸福をもたらすのは、「環境」だけではない。自分の言葉と行動が、作り上げている部分が大きいのだ。