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仏教・神道・儒教の違いと特徴|世界の裏側がわかる宗教集中講座

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日本人は、宗教について、自分たちとは無縁のものだと思いがちだ。でも、この井沢元彦「世界の裏側がわかる宗教集中講座」を読むと、世界が宗教の力で動いていることがよくわかる。宗教の理解を深めることは、世の中の動きを理解する上で非常に役立つ。この記事では、同著を参考に、仏教・神道・儒教についてざっとまとめたい。

キリスト教、ユダヤ教、イスラム教については別の書籍になるが、以下をご参照!

iroiromanabu.hatenadiary.jp

 仏教

仏教の起源

仏教の起源は、現在のネパールの一角にあたる地方の王子、ゴータマ・シッダールタ。非常に哲学に熱心であり、生きるが苦しみであるなら、人間はどうしたらその苦しみから逃げられるか、ということを追求するために、お妃も子供も捨てて出家した。シッダールタの出身部族は「釈迦族」と言ったため、のちに彼が聖者として尊ばれたことで「お釈迦様」という言葉が生まれた。

仏教の根本思想

仏教の前提として、生きるということは苦しみである。なぜなら、人間はあらゆることに執着するから。もっと長く生きたい、早く病を治したい、いつまでも若くいたいということに執着する。しかし、この世のことはすべて諸行無常(すべての現象は必ず変化し、滅びていく)なので、執着することは苦しみになる。

仏教では、人の命は「輪廻転生」により生まれ変わり続け、永遠に「生きる苦しみ」から逃れられないとされる。その輪廻転生の輪から抜けることを「解脱」と言い、そのためには悟りを開き、罪なきものになる必要があるという考え方。

仏教の進化

元々の仏教の考え方に則ると、解脱するためには、出家して悟りを開く必要がある。しかし、それは一般の民衆が誰にでもできることではない。そこで、もっと大衆を救済する仏教であるべきなのではないか、と考えられてできたのが「大乗仏教」。つまり、出家をしなくても、「お釈迦様を拝む」ことで罪がなくたるという大衆向けの仏教。これに対し、旧来の厳しい仏教は「小乗仏教」と呼ばれるが、これは大乗仏教から見た差別的な意味を含むので、「上座部仏教」とも呼ぶ。

鎌倉時代になり、日本の社会が大衆化すると、より大衆的な仏教が求められるようになったという流れとともに、新しい仏教が生まれた。それが、法然、親鸞、日蓮、道元、一遍などによる新仏教だ。

鎌倉時代の仏教大衆化の流れ、そして日本化の流れの中で生まれたのが「本地垂迹説」。これは、日本の民族信仰として古来からある「神道」と、仏教が融合したもの。そのため、中世以降、日本では、大きな神社にお寺もあるという形になった。

神道

神道の起源

神道は複数の神様を認める多神教であり、「日本古来の神様を、日本人のやり方で祭っていく」宗教。

神様の中にはいい神もあれば悪い神もあるし、ヤマトタケルのようにもとは人間だった人格神もあれば、千年の歳を経た杉の樹など、長年人々に水を与え続けている川などが神となったものいる。そうした神々を祭るのが神道。一方、キリスト教は一神教なので、神は、唯一絶対信のほかには決して認めない。

神道では「穢れ」を極端に嫌う。穢れは「諸悪の根源であり、精神的な汚れ」である。汚れは洗浄・消毒すれば消えるが、穢れを取り除くには、「禊」や「祓」が必要

穢れとしての「死」

人の「死」は、不幸を招く最も大きな穢れである。人を殺すことは穢れに触れることであり、そういう仕事は高貴な人間がやるべきではないという概念が生まれた。平安時代、世の中がおさまってくると、真っ先に皇族が戦わなくなってしまう。そして、軍隊を廃止したことで、戦国乱世のように治安が悪かった。そこで生まれたのが「検非違使」であり、都の治安を守るために生まれた令外官(律令以外の官)。

鎌倉幕府から明治維新まで、日本は朝廷と幕府が並立する「朝幕並存」が続く。このような住み分けが成立した理由は、神道の穢れを嫌う思想があったから。朝廷は文化事業、武士の政府は現実の手を汚す仕事をしていた。

「靖国神社」は、戦犯の死者も祭っていることから、非難の対象となることもあるが、戦いの中で国家のために死んだ人たちを、そのままにしてはいけない、天皇の名、国家の名において祭るべきだとしてつくられた。日本の神道では、悪人でも死んだら神仏として考えられるのだ。一方他の宗教、例えば儒教では、死んだ悪人は未来永劫悪人だと考え方なので、日本が靖国神社を祭る理由が理解できない。

「和」と「言霊」

聖徳太子の十七条の憲法にある「和を以て貴しとす」の「和」、つまり争いを避ける価値観も、日本古来の思想である神道の一部として考えられる。

言葉自体に霊力が備わっているという考え方が「言霊」。言霊信仰では、起こってほしくないことを起こり得る事態として口に出した段階で避難されてしまう。だから、日本人は危機管理が下手、といわれることも。

儒教

儒教の起源

儒教は中国の孔子が開祖である。中国の古代信仰である先祖崇拝(つまり、信仰の対象は「祖先」)を、いかにしてかたちとして行うか、ということを厳密に理論づけ、体系化したものといえる。

儒教の根本思想「礼」「孝」「徳」

儒教では「礼」、つまり「礼儀」を非常に重んじる。例えば、儒教では親が死んだときにには三年間喪に服す。それは公務よりも優先されるべきとされる。

儒教では、仮に沈みそうな船に家族が乗っている時に誰を救うか。多くの日本人は「子ども」と答えるはずだが、これは儒教ではない。儒教では、おじいちゃん・おばあちゃんから助けることが重んじられる。これが「孝」である。

儒教では「徳」も重んじる。徳は、能力とは異なる「人格的な品格」のようなこと。

徳川家康は、儒教を日本に導入した人物。実は本来「松平」という姓だった。系図のなかにあった「得川」をいじり、自らの姓を「徳川」に改名したという説もある。そのくらい儒教において「徳」は重要視されている。

かつて中国の官僚の登用試験として用いられていた「科挙」は、儒教の理解度が高ければ高いほど、徳の高い人物であるとして、「徳」を図るためのものだった。

 

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以上、仏教、神道、儒教の要点をまとめてみた。本書には、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教も含め、各宗教の詳細と、筆者の井沢氏の深い考察が詰まっている。非常におすすめの1冊だ。