しがないマーケターの戯言

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マーケティングの本質を学ぶためのおすすめ本【厳選6冊】

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ビジネスは机上の空論では成功しない。だから時に「理論」は軽視されがちだ。でも、一橋大学の楠木教授の言葉を借りれば、「成功の法則はないが、理論はある」。そして、「現象は変わるけれど、理論は変わらない」。だから、マーケティングの理論を学ぶのは重要なことだと僕は思っている。

そのためにこれまで多くの書籍を読んできたので、マーケティングの「本質」を学ぶために特におすすめな6冊を厳選して紹介したい。かなり本気でおすすめしたい6冊に絞った。

これらの本には、デジタルマーケティングなどのテクニカルな内容というよりも、もっと根本的な「構造」や「人の心理」に着目した内容ばかりだ。マーケティング経験者も、これからマーケティング職に就こうとしている人も、読んでいないものがあればぜひ一読をおすすめしたい。

『ハイパワーマーケティング』

過去の記事でも紹介したが、ジェイ・エイブラハム『ハイパワーマーケティング』は最もおすすめできる。ビジネスモデル、USPの考え方、ダイレクトメール、テレマーケティング、ウェブマーケティング、そしてビジネスパーソンとしてのマインドセットに至るまで、ビジネスそのものの基本事項を網羅し、まさにマーケティングの教科書とも言える1冊だ。

2001年に初版が発行されたようで歴史のある著書だが、SEOなどのWebマーケティングについても言及されていて、カバー範囲も広い。

世界中のコンサルタントがネタ張として愛用し、ほとんどのマーケティング関連書籍のノウハウは、この本から引用されているとも言われている。

『ブランディングの科学』

筆者のバイロン・シャープは南オーストラリア大学の教授。「ライトユーザーよりもヘビーユーザーを重視すべき」「顧客はセグメントされるべき」「商品は差別化が最も重要」などといったマーケティング界ではもはや常識のように語られる理論を、筆者がエビデンスを交えながらばっさばっさと否定していく。

本書は、かなり多くの事例と、定番理論を覆す議論を含んでいるので、マーケティングを一度でも学んだことがある方におすすめできる一冊だ。詳しくは以下の書評で。

iroiromanabu.hatenadiary.jp

『不変のマーケティング』

日本一のマーケターと称されることもある神田昌典氏の1冊。消費者を惹きつけるセールスコピーライティングや心理戦に関する、筆者のノウハウが詰められている。

特にDMや通販を活用するダイレクトレスポンスマーケティングの世界では即使える技術ばかりだ。4P(Product, Price, Promotion, Place)で言うところのプロモーションにフォーカスされている。

『禁断のセールスコピーライティング』と『神話のマネジメント』という姉妹本もあるが、『不変のマーケティング』が1冊目であるため、網羅性があり最もおすすめできる。

『大前研一 0から1の発想術』

マーケティングを、単なる広告やプロモーションという側面ではなく、「ビジネスモデル」ととらえると、大前研一氏の著書は必読だと思う。シェアリングエコノミーなどの最近の事例なども含めて、ビジネスモデルを発案するための大前氏の11の発想術がまとめられている。

ページ数も多くなく、簡潔にまとめられているので、かなりおすすめの1冊だ。 

『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』

P&G出身、USJのマーケティングでマーケ業界では知らない人はいないと言っても過言ではない森岡毅氏の1冊。

もちろんマーケティングにはデータやマクロな数値分析のスキルが必要であり、森岡氏はそれを厳格に取組んでいるのだが、それ以上に、「マーケターはいかにリーダーシップが必要か」ということを学べる。

いかに、社内にはびこる常識を打ち破り、各署と交渉、協力を仰いでビジネスを成功させるのか。マーケティングがスマートな仕事ではなく、泥臭い仕事であるということがよくわかる。 

『ストーリーとしての競争戦略』

一橋大学教授、楠木建氏の名著。正確にはマーケティング理論の本ではなく、「競争戦略論」についてだ。しかし、マーケティングの一つの側面は、他の多くの商品といかに差別化し、独自の価値を伝えるかを考える仕事でもある。その点で競争戦略論は密接に関わってくる。

差別化のための商品の特徴や仕組みは、その組織や商品、業界といった「文脈=ストーリー」の中でこそ意味を発揮する、という筆者の主張は非常に納得感が高い。

紹介した中では最も分厚いので一瞬ひるむかもしれないが、内容自体は平易な言葉で書かれており、とても読みやすいのでおすすめだ。

 

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以上、テクニカルなことから少し離れて、マーケティングの本質を学びたい/学び直したいと思われる方にはどれも本気でおすすめしたいものばかりだ。