しがないマーケターの戯言

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就活は企業・業界研究よりも「具体的な仕事」を研究したほうが良い理由

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プライベートで就活支援の活動に関わっているので、よく就活相談やOB訪問を受けさせていただく。その中でよくするアドバイス。

それは「企業・業界を研究することに時間を割くより、具体的な仕事の内容を知ったほうが良い」ということ。

 

こう書くと「え?企業・業界研究しろってよく言われますよね?」と言われることも多々ある。

 

企業・業界の動向がそれほど大事ではない理由

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もちろん、その企業のことや業界のことについて、詳しいに越したことはない。でも、「業界地図」のような本を読み漁って、業界の順位や規模、売上高や利益率を知ることが、個人のキャリアにどれほど影響があるだろうか、ということだ。

 

ひと昔前であれば、終身雇用制が一般的で、「就職」ではなく「就社」という考え方のもと、その企業や業界の将来性を見通すことは重要だったかもしれない。

 

でも、今これから就職する世代にとって、多くの人はその企業に一生勤めるわけではない。(もし一生勤められるのであれば、それはとてもラッキーなこと。)

 

もちろん、業界によって給与水準や企業風土は自分の近い将来の生活に強く影響するので、それは知っておくと良いかもしれない。

 

しかし、業界の順位や規模、売上高や利益率のようなマクロな情報は、個人のキャリアにとってさして重要ではない。と思うのだ。

 

なぜ「具体的な仕事」を知ることが重要か

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ではなぜ、企業や業界のマクロ情報を研究することよりも、「具体的な仕事」を知ることが重要といえるのか。

 

個人の「向き/不向き」や「好き/嫌い」に強く影響するから

例えば、すごく人とのコミュニケーションが好きで、交渉ごとも上手な人がいるとする。その人が、「業界が成長している」「注目されている企業である」という理由でとある企業に入り、プログラマーになったとする。もしかしたら、何時間も黙々と繊細な作業をすることに耐えられず強くストレスを感じてしまうかもしれない。

 

一方、そういったコミュニケーション力や交渉力に長けた人であれば、新人でも裁量のある営業職のポジションを与えられるような企業に就職したほうが遥かに活躍できるし、イキイキと働けるはずだ。

 

このように、人のキャリアというのはとてもとても個人的な問題なので、業界の動向や将来性といったマクロなことよりも、その人が実際にすることになる「具体的な仕事」が、「向き/不向き」や「好き/嫌い」に合っているか、ということのほうが遥かに重要なのだ。

*このあたりは、一橋大学・楠木建教授の「好きなようにしてください」をご参照。

面接でリアリティのあることを話せる

もう一つ、具体的な仕事を知ることのメリットがある。それは、面接ですごく活きる、ということだ。

 

多くの学生は、志望動機や入社後やりたいことについて、どこまでも抽象的なことを答えがちだ。例えば、食品メーカーを志望する人が「私は食で日本をますます豊かな国にしたいんです」のような感じで。

 

もちろん、大きな夢や目標を持っていることは素晴らしいと思うが、食品業界でまだ働いたこともない学生が、その業界で長年働いているであろう面接官の前でそれを主張することは、多くの場合、リアリティがない

 

でも、例えば、「御社の営業職では、ただ提案するだけではなく、商品をデリバリーすること、そしてその後のサポートまで深く顧客に関われると伺いました。そこに、学生時代にサークルで培った丁寧なコミュニケーション力が活きると思いました」と言ったら、なかなか説得力があると思わないだろうか?

ブランドイメージだけで受ける会社の選考は通らない

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僕は自分が学生の時、面接がとても苦手だったし、視野もとても狭かった。だから内定をもらった会社は限られていた。でも内定をもらった会社ほど、志望度が高かった。

 

今、なぜそんな自分が内定をその会社からもらえたか、と考えると、それはその企業で自分が担当する可能性が高い具体的な仕事の話を聞き、それを自分の経験と結びつけて話したからだと思う。

 

僕の場合は、「御社のマーケティング職は、分析・企画といった上流から、実際にラフを引いてコピーライティングをするなどの広告制作の実行に至る下流まで、一気通貫で担当できることが、自分の〇〇な経験とつながっていて」のような感じで話したことを覚えている。

 

逆に具体的な仕事をよく知らず、ブランドイメージだけで受けた大企業は一次面接で早々に落ちた。

 

ブランドイメージだけで受ける会社の選考は通らない。当然だけど。

 

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以上、つまり何が言いたいかというと、「企業・業界のマクロ情報を集めるより、具体的な仕事の内容を知ったほうが良い」ということだ。