しがないマーケターの戯言

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大戸屋の「少し大盛り」ご飯に見る「中間地点の発想術」

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僕は大戸屋でよく夕食をとる。美味しいし、野菜も多くて健康的だ。(写真はイメージで、大戸屋のメニューではありません)

大戸屋の「少し大盛り」

そこに最近、ライスの「ふつう盛り」「小盛り」「大盛り」に加えて、「少し大盛り」というメニューが加わっているのを見つけた。

中途半端な!と思うかたもいるかもしれないが、これが自分にはちょうどよかった。ふつう盛りだと少し物足りないけど、大盛りは結構量が多い。だから結局いつもふつう盛りを頼んでいたので、その「中間」ができて、小さなことだけど何気に嬉しい。さらに大戸屋にお世話になることになりそうだ。

中間地点の発想

で、何が言いたいかと言うと、この大戸屋の「少し大盛り」を見て、ビジネススクールで学んだ「中間地点の発想術」を思い出した。(大前研一『0から1の発想術』参照)

「0から1」の発想術

「0から1」の発想術

Posted with Amakuri at 2018.9.29

  • 大前 研一
  • 小学館

 

 「中間地点の発想術」とは、ABという2つの方法がある場合、その中間地点でポジショニングすることで、差別化をはかるというもの。折衷案をとれというものではなく、大きな枠の中にスイートスポットを見つけることが肝らしい。

 例えば、エンジンは2つか4つという常識の中、ボーイング727はエンジンを3機にすることで、優秀な性能かつ小回りの効く人気のジェット機となった。

また、東京の交通は品川駅開業で非常に便利になった。今でこそ品川駅の存在は当たり前だが、開業前は、「たった20分でつながる東京駅と新横浜駅の間に新幹線の駅は不要では」という意見も多かったようだ。結果、京浜急行が羽田空港とノンストップで結んでいるので、飛行機との乗換が便利になるなど、交通の便を大きく向上させた。

もう少し身近な例で言うと、大前氏がFUJIFILMのコンサルをしていた時、当時12枚撮り、20枚撮り、36枚撮りのインスタントカメラがあった。顧客の使用用途を詳細に分析していると、20枚撮りの顧客は使い切って少し物足りなく感じている(もう少し撮りたいと思っている)のに対し、36枚撮りを購入した顧客は、枚数が余ってしまいしばらく現像せずに放置してしまっているということに気づいた。

そこで、24枚撮りという商品を作ると、それが大ヒットして、その後のスタンダードになったそうだ。

スイートスポットを見つけるマーケティング

既存の商品の選択肢は、それが顧客にとってベストかどうかはわからない。もしかしたら、スタンダードだと思われている枠から外れた商品を提供することで、それが顧客にとってのスイートスポットになる可能性もある。

冒頭に紹介した、大戸屋の「少し大盛り」は、僕にとってのスイートスポットだったのだ。