しがないマーケターの戯言

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継続する力を高める具体的な方法|ぼくたちは習慣で、できている。

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人の成功を左右するのは、IQでも才能でも家庭環境でもない。「継続する力=GRIT」である。という主張でアンジェラ・ダックワースのプレゼンが注目を集めたのは記憶に新しい。

ただ、では具体的にどのように「継続する力」を高めれば良いか、ということにはこのプレゼンでは踏み込まれていない。佐々木典士さん『ぼくたちは習慣で、できている。』はそこに踏み込んだ1冊だった。読む前は、筆者の経験談が中心のすごくライトな自己啓発本かと思っていたが、エビデンスとなる過去の研究も多く記載されており、想像以上に説得力のある内容だった。

ぼくたちは習慣で、できている。

ぼくたちは習慣で、できている。

Posted with Amakuri at 2018.12.25

  • 佐々木 典士
  • ワニブックス

 

なぜ人は継続できないか

よい習慣を身につけられない原因は、人が目の前の報酬にどうしても屈服してしまうことに原因がある。目の前に報酬がぶら下がっていたとしても、将来の報酬を得たり懲罰を避けるために、それを断てる人が「意志の強い人」と言われたりする。

人は、つい目の前の楽なものになびいてしまいがちだ。ダイエットを宣言しても、「今日だけは特別」と自分に言い訳をして糖分たっぷりのケーキを食べてしまうし、ジムに行くのをサボってしまう。ではなぜ、人は継続できないのか。

それは、人は、先の報酬(メリット)よりも、目の前の報酬に弱いからだと言う。例えば、1年後にもらう13,000円よりも、今もらえる10,000円を受け取ってしまいがちなのだということだ。

こんな風になぜか人には「目の前の報酬を過大評価し、将来にある報酬や罰則を過小評価してしまう」という性質がある。この人間に備わった性質を、行動経済学では『双曲割引』と呼ぶ。

だから、人は目の前の楽な選択になびいてしまうのだ。では、どうすればその「目先の報酬」になびかず、「先の報酬」を追い求めることができるのか。本書ではさまざまな提案がされているが、その中からいくつかを紹介したい。

「毎日」やる

ある研究によると、目先の利益になびかず、先の利益を優先できる人は、決して意志が並外れて強いわけではなく、そもそも「目先の利益をとることを検討する回数が少ない」らしい。

この実験でわかったのは、意志力が強いと思われていた人は、誘惑に提供している時間がそもそも短かったということだ。誘惑を何度も断ち切れるような強い意志力を持っていたわけではなく、そもそも誘惑されている時間や回数が少なかった。

そしてそのためには、「毎日やる(もしくは辞める)」と決めることだという。もし、「週2~3回はジムにいくぞ」という目標を立てると、「今日はジムに行こうか行くまいか」と毎日のように「判断」することが必要になってくる。でも毎日行くと決めれば、今日も明日も行くのだから判断する必要がそもそもなくなる。

この主張は全くの同感で、僕自身も、この約1年、毎日オンライン英会話を続けているのだが、週2回という目標を立てていた時は達成がなかなか難しかった。でも、毎日やると決めてからは、本当に毎日続けられるようになったのだ。

少しだけやる

また、「少しでも」毎日やることに意味があるらしい。

 「毎日する」ということさえ決まっていれば、今日それをすべきかどうか悩むことも決断することもない。そうして毎日するうちに、したくないことではなく、進んで自然としたいことに変わっていく。毎日する、これは習慣のステップの中でも奥義のひとつだと思う。

下げていいのは難易度であって、頻度ではない。習慣づくまでは毎日やり、頼まれなくても自発的にしたくなるようになってから、頻度を適度に減らすのがいい。

というのも、「少しでもやる」ことがモチベーションの維持につながるから、のようだ。

問題は「やる気」というものが、持っていれば、どこからか自然にやってくるという思い込みだ。これが間違いであることは、脳科学者の池谷裕二さんの次の言葉が完璧に表現している。

やりはじめないと、やる気は出ません。脳の側坐核が活動するとやる気が出るのですが、側坐核は、何かをやりはじめないと活動しないので』

自分を褒める

また、人はネガティブな気持ちになると、目先の利益に走りがちなようだ。

不安を感じたり、ネガティブな感情を感じると、本能的なホットシステムが活性化する。先にも書いたように、ぼくたちの身体の仕組みができあがったのは大昔のことだ。この頃のストレスの原因は、食べ物にありつけるかどうかという不安がほとんどだったに違いない。だからストレスを感じれば、とにかく目の前の食べ物を食べたり、休んだり、サボったりすることが有効な対処法になったはずだ。

ホットシステム=脳の本能的な部分。反射的でスピードが早い。感情や直感で判断するシステム。「古い脳」である、大脳辺縁系、線条体や扁桃体が担当する。

だから、少しでも達成した自分を褒めたり、適度に自分にご褒美を与えることで、モチベーションを維持するのだ。もし、「毎日朝2時間勉強する」という目標を立ててしまうと、達成するのが難しく、自分を褒めるのが難しくなるかもしれない。でも「毎日10分でもやる」という目標であれば、自分を褒められる可能性が高まり、ポジティブな気持ちになれる。

さらに、その「達成」は「成長」だけでは不十分だそうだ。

継続するためには、報酬を成長ではなく、行為自体の中に見つけ出すことが必要だ。今日も習慣を続けられた、という「自己肯定感」を報酬とすること。これは本当に重要だ。

例えば英語の勉強において、成長を実感することはとても重要だ。ただ、コンスタントに成長を実感できるとは限らない。勉強すればするほど、成長が鈍化する期間があるものだからだ。

そうした時でも、毎日続けていること自体について、自分を褒めたり誰かに話したりすること。そうすることで自己肯定感、自己効力感を持って、モチベーションを保ち、継続する力を維持することができる。

 

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以上、継続するということの重要性と、その具体的な方法についてよくわかる1冊だった。何かどうしても達成したいものがある時は、この本を参考にしてみてはどうだろうか。