『医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン』を読んだ。筆者は、医学博士であり小児科専門医の本田真美さん。
内容
自分の能力特性を診断できるテストがついていて、人の能力特性を、6つの認知特性に分類し、解説しているのが本書。「自分はどのような仕事が向いているのか」「どのように強みを伸ばしていけば良いのか」ということを考える上でとても参考になる。
同じような能力診断で有名なのは「ストレングスファインダー」や「エニアグラム」だが、それよりもより、「認知能力」によった内容になっている。
6つの認知特性
本書では、人が持っている認知特性を以下の6つに分けている。(下記の説明は本書から一部抜粋orサマリ)
1. 視覚優位者・写真(カメラアイ)タイプ
・写真として物事を記憶する
・図式を用いるのが得意
2. 視覚優位者・三次元映像タイプ
・映像として物事を記憶する
・昔の記憶を、順序よく時間を追うように説明できる
3. 言語優位者・言語映像タイプ
・言葉を見るのが得意
・比喩表現が得意
4. 言語優位者・言語抽象タイプ
・わかりづらい文章を図式化することが得意
・歴史の本の登場人物の相関図が浮かびやすい
5. 聴覚優位者・聴覚言語タイプ
・言葉を聞いたり、サイレントトークしたりするのが得意
・難しい話題でも、話を一度聞くだけで理解できる
6. 聴覚優位者・聴覚&音タイプ
・言葉を聞くのが得意
・外国語の発音が上手
活用方法
本書に載っている認知診断テストが、以下のWEBサイトにアップされている(エクセル)ので、それに取り組んで、本書を読む。
「頭の良さ」は一括りに語れない
学生の頃までの「頭が良い」というのが「記憶力が良い」と同等に思われがちだ。しかし、人の能力には様々な特性があり、「頭が良い」といってもその「良さ」は千差万別。
仕事においても、プレゼンが上手い人もいれば、瞬発的な会話や受け答えが上手い人、資料の図式化が上手い人など様々だ。これらの特性を、本書では「認知特性」と言っているわけだが、こういった認知特性は、「英語が話せる」「ITの知識がある」などのいわゆる「知識」「スキル」とは異なるものだ。
大人になってからでは変えることが難しい、自分が一生付き合っていくべき特性が、認知特性なのだと思う。
だからこそ、自分の認知特性はどういったものなのかを理解しておくことは、「自分がどの土俵で戦うべきなのか」を考えるためにとても重要だと思うのだ。
ドラッカーの言葉
経営学の巨匠ピーター F. ドラッカーも、これに似たことを論文『自己探求の時代』の中で述べている。この論文は、『ハーバード・ビジネス・レビュー Best10論文』に収録されている。
ハーバード・ビジネス・レビューBEST10論文―世界の経営者が愛読する
Posted with Amakuri at 2018.12.16
- ハーバード・ビジネス・レビュー編集部, DIAMONDハーバード・ビジネス・レビ
- ダイヤモンド社
驚くほど多くの人たちが、自分の得意とする仕事の仕方を自覚していない。仕事にはいろいろな仕方があることさえ知らない。得意でない仕方で仕事をし、当然、成果が上がらないという状況に陥っている人が多い。しかるに、知識労働者にとっては、強みよりも、むしろ得意とする仕事の仕方のほうが、重要とさえ言ってよいくらいである。
その中で、ドラッカーは「読んで理解する」人と「聞いて理解する」人がいるとしている。
最初に知っておくべきことは、読んで理解する人間か、聞いて理解する人間か、ということである。ところが、世の中には、読んで理解する「読み手」と、聞いて理解する「聞き手」がいるということ、しかも、両方であるものはほとんどいないということを知らないものが多い。
例えば、予めプレゼンや質問の内容を文章で準備をしておいたほうが力を発揮する人と、文章の準備に関わらず、その場での会話でのやりとりのほうが上手く対応できる人がいる。
この事例は、上記で挙げた認知特性の「言語優位者」か「聴覚優位者」か、に近いものがあるだろう。脳科学と経営学という全く異なる2つのフィールドから似た考察が得られているのは、とても面白い。