NLPは、1970年代にアメリカのリチャード・バンドラーとジョン・グリンダーが確立した能力開発手法。アメリカでは「脳の取扱説明書」と呼ばれているらしい。
山崎啓支『ほんとうに役立つNLP』を読んだ。NLPというものを初めて学んだ印象としては、NLPは全く新しい科学というよりは、ポジティブ心理学や、スポーツでのメンタルトレーニングという分野を、より脳の働きという側面にフォーカスしたものだということだ。
ここで紹介されるNLPの考え方の中核は、「人間は事実に影響を受けるのではなく、事実にまつわる印象(イメージ=五感情報)に影響を受ける」ということ。
例えば職場に苦手な人がいて、その人と一緒に働くことにストレスを感じているとする。ストレスの原因は、その苦手な同僚ではなく、自分自身がその人にもっている印象や観念(イメージ)であるということだ。なぜそうなるかというと、「脳は真実とイメージの区別がつかない」ためだ。
これはスポーツにおいても重要な考え方だと思う。僕は大学まで体育会系の野球部で野球をしていたのだが、野球というのはメンタルの変化に結果が影響されやすいスポーツだとされる。
スポーツにおいて、少なからず人は重要な試合や場面で「プレッシャーを感じる」という経験をする。しかし、プレッシャーを感じているのは、その試合や場面が重要だからではなく、「その試合が重要だ」と本人が思い込みすぎていることが原因なのだ。
また、「脳は真実とイメージの区別がつかない」ために、「エラー(ミスプレー)をしたらどうしよう」とイメージしてしまうと、脳はそれを現実だと思い、本当にエラーするように体が動いてしまうのだ。
このように「印象(イメージ)」と「事実」を切り離す力量は、スポーツでも、おそらく仕事でも成果につなげられるスキルなのだろうと思う。
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人の能力開発には興味があるので、NLPという分野は面白い。もう少し掘り下げて学ぶと面白いかもしれないと思った。