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リーダーシップの本質は何か|採用基準

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伊賀泰代さん『採用基準』を読んだ(正確には読み返した)。

採用基準

採用基準

Posted with Amakuri at 2018.8.29

  • 伊賀 泰代
  • ダイヤモンド社

 

タイトルからは、就職や転職のための面接対策のようなイメージも感じられるが、これは、マッキンゼーで人事を務められていた筆者による「リーダーシップ論」だと思う。

リーダーシップは全員に必要

筆者によると、マッキンゼーをはじめとするグローバル企業では、採用基準が地頭論理的思考力だけにあるように思われているが、それは違う。求められているのは「将来のリーダーとなるポテンシャルをもった人」だという。

日本社会では、リーダーシップは時に「自分の意見ばかり主張する強引な人」「他人に指示ばかりして、自分は手を動かさない人」というネガティブな側面もある。しかし、欧米の企業でいうリーダーシップとは、「成果にコミットすること」だ。

 筆者の言葉を引用すると、「自分は、この企業の利益の最大化という成果達成のために、誰に命令されなくても、必要なことをやるべき責務がある」と理解し、行動する人のことである。

部署や役職にとらわれず、自分が周りの人間を巻き込んで、成果を出すことにコミットすることが、リーダーシップであり、リーダーは組織に一人というわけではなく、全員にとってリーダーシップが必要なのだ。

身近なリーダーシップ

『採用基準』ではマッキンゼーの採用基準としてのハイレベルなリーダーシップの在り方が語られているが、マッキンゼーのコンサルタントというのは世界最高レベルの人材だ。

全員がそこを目指すのは難しいかもしれないので、もう少し、一般レベルの身近なリーダーシップについて考えてみたい。

筆者はリーダーシップを、「企業の成果にコミットする人」と表現している。それは言い換えると、「チームの目的達成のために自分の頭で考えて行動できる人」だ。そう考えると、たとえ目的が小さなことであってもリーダーシップは必要なんだと思う。 

例えば、上司からあるデータを集めて欲しいと依頼されたとする。リーダーシップのない人は、言われた言葉通りに資料を作って上司に渡す。

リーダーシップのある人は、上司にその資料の利用目的を聞いて、何がその目的に適したデータかを考えて資料を作る。

もっとリーダーシップがある人は、その上司の目的に合わせて、新しいコンテンツを追加したり、自分なりに工夫した見せ方をしたりして資料を作成するかもしれない。

要するに、僕は「リーダーシップ」の本質は、「主体性」であり、「自律性」であり、「当事者意識」だと思うのだ。

リクルートでは「圧倒的当事者意識を持て」と教えられるらしい。リクルートに優秀な人が多いというのはそういうリーダーシップを持つことを重視する企業文化があるからかもしれない。

明日から急に、マッキンゼーのコンサルタントレベルでのリーダーシップを発揮することは多くの人にとって難しいだろう。でも、目の前の仕事に少し主体性を持ち、自分なりに考えて行動できるようにすることから始めることはできるはずだ。