プレゼンの内容
TED『仕事を探しているなら、経歴ではなく力を示そう』のプレゼンターであるジェイソン・シェンは、IT企業でプロダクトマネージャーを務める。
自身の求職活動を踏まえて、採用側がどうあるべきかということについてのプレゼンだった。主張は3つ。
1. 探索範囲を広げること
画一的な学歴・経歴だけで採用せずに多様性に目を向けること
2. 仕事ぶりで採用をする
スポーツチームの入団テストのように候補者に自分のスキルを示すチャンスを与えること
3. 全体像を見ること
一つの経歴に着目せず、その人の人生全体を見ること
どうすれば良い採用ができるか
鳴り物入りで入社した転職者が、期待はずれで全く使えない。どこの企業でも珍しくない話だ。一方、実際に一緒に働くとすごく頼りになって優秀なのに、転職活動では上手くいかない人もいる。
採用という活動は、まだまだ発展の余地がある分野なのかもしれない。
特に「候補者に自分のスキルを示すチャンスを与える」というのはユニークなアイデアだと思う。まあそのために筆記試験やグループワークの時間があるのだと思うが、筆記試験でわかるのは情報処理能力や知識だけであって、それは学歴とある程度比例するだろうし、グループワークでわかることも職務の遂行能力全体のうちのわずかなものだろう。
ただし、採用にもっとたくさんの試験を設ければ良いというものでもないので難しい問題だ。
候補者の1週間の合宿的なプログラムに参加させるとか、短期のインターンに参加させるとかだろうか。しかし、現職がある転職者にはその方法は向かないし、選考期間が長くなれば双方の負荷も大きくなる。
いっそ、採用自体は簡単な面接でさらっと決めてしまって、試用期間にバンバン首を切れる風土を作るというのはどうだろう。候補者は実際の仕事ぶりを見てもらえ、企業側はダメだったら首を切れる。
不透明性のメリット
一方で、候補者の実力と適正を正確に計れる仕組みができればできるほど、職を得られない人はずっと得られなくなり、格差が広がる可能性もある。透明性が高まることが、メリットだけとは限らないのだ。
「採用という活動は、まだまだ発展の余地がある分野なのかもしれない。」と書いたが、そういった不完全性があるからこそ、誰にでも良い職を得られるチャンスがあるということでもあるかもしれない。