しがないマーケターの戯言

読んで学んで、物を書/描く。

千年残る日本の和紙で、大切な人に手紙を書く

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大学院のビジネスプランで調べ物をしている時に「和紙」の海外ビジネスにおけるポテンシャルに気づいたのでまとめてみる。もしビジネスにしたい方がいらっしゃったらぜひご連絡ください、一緒に考えましょう。

実はすごい「和紙」

和紙は、日本の伝統工芸品のひとつで、2014年には、「和紙 日本の手漉和紙技術」がユネスコ無形文化材にも指定されており、世界に認められている。

機械での大量生産とインクの印刷への相性が良い洋紙に比べ、和紙は材質が均一ではない美しさがある上、耐久期間が1000年以上とも言われている(洋紙は100年程度)。大量生産大量消費ではなく、少なく残しておきたいものに使うことに向いている。

外国人、特に女性に「和紙テープ」が人気。手帳や手紙を和紙テープでデコっているらしい。ちなみに先月(2017年11月)調べたところインスタグラムにも大量の和紙テープフォトがアップされている。

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さらに、Googleトレンドで確認すると「和紙」の検索ボリュームは過去10年でかなり増えていて、実は、日本の「鎌倉」よりも「和紙」のほうが検索ボリュームが多かったりする。エリアは、オーストラリア、アメリカ、スペインである。

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和紙産業の課題

しかし、もちろん和紙産業には課題が山積みである。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、手すき和紙は出荷額、事業者数共に多少の増減はあるものの全体として減少傾向であり、平成 101998)年と比較すると約半分程度の規模にまで落ち込んでいる。

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そしてさらに、手すき和紙のすき手の高齢化は著しく進んでおり、平成 122000)年の時点ですでに 61 歳以上の従事者が全体の65%弱となっている。新規参入の若年層従事者がほとんどいないため、この調子で進むと20 年後には従事者が大幅にいなくなることが想定さる。

 それでもポテンシャルを感じる理由

和紙産業は危機的状況である。しかし、それでも僕がビジネスとしてのポテンシャルを感じるのは以下の理由からだ。

外国人観光客が劇的に伸び続けていること。2017年現在で2,500万人ほどで、オリンピックに向けてさらに伸びる。

モノ消費より「コト消費」が増えていること。外国人観光客は、今までは中国人の「爆買い」に代表されるように、日本での買い物が好まれた。しかし、最近では地方などで和装などの体験を重視する「コト消費」が求められているという話をよく耳にする。和紙を単に売るだけではモノ消費と同じかもしれないが、自分で和紙を手作りするという体験にはニーズがあるのではないか。

和紙は軽い。焼き物などの陶器と違い、和紙は軽い。輸出やお土産としての購入に向いている商品だと思う。日本茶の海外販売のベンチャー企業で働く友人によると、軽いということは輸出においてコストカットにつながり、かなりのメリットだそうだ。

 日本を代表する和紙屋さん

 先日、東京の日本橋にある和紙専門店「はいばら」に行ってみた。なんと創業200年の老舗中の老舗だ。とても素敵な和紙製品が並んでいた。和紙の名刺などは、日本製品を扱う日本企業にもニーズがありそうだ。ただ、外国人観光客の集客は特に行っておらず、全体の1割にも満たないらしい。これを、ポテンシャルがないととらえるか、ビジネスチャンスととらえるか、である。

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ビジネスプラン

ビジネスプランとしては、まず、和紙を漉いて手作りしたり、手紙を書いたりする体験を提供することが必須だろう。また、それだけだと利益を維持できないはずなので、その体験をきっかけに、オンラインを使って訪日外国人が帰国後もネットで和紙グッズを購入できるサービスを提供すべきだ。

また、もう一つの機会点として、和紙技術の伝承がある。和紙職人の後継者は重要な問題だが、職人として極めるような人材は数多くいる必要はないのではないか。アルバイトレベルでも基本的なことを短期間でマスターし、顧客に教えられるレベルのマニュアルを整備し、職人技を絶やすことなく継承していくという方法もあるはずだ。

プロが見てわかるレベルに達するまでには相応の時間がかかるかもしれないが、外国人観光客が楽しむことが十分と考えた時に、手すき体験を提供するインストラクターのレベルはそれほど高くなくて良いだろう。